[>>64ベネットに告げた言葉が彼に与えた衝撃はどの様なものだっただろうか。
彼は、目を見開き、こちらを凝視する。絶望に満ちた瞳で。
子犬の様に、にこにこと笑っていた様子は形をひそめ、無理をして隠していたのだろう、今の正しいと思える彼の姿が現れる。
信じたく無い、と震え揺れる視線と荒いと息。立って居る場所の心許なさ、あらゆる不快な感覚が彼の身体を巡っているのだろう。悲しみと絶望が脳を圧迫し、思考がそれに塗りつぶされて行く。親しい者が突然死ぬ、その強い負の感覚。
彼は立ち上がると、まるで自分がその苦しみを与えた咎人だと訴える様にこちらを見つめ後ずさり、床へと傾れた。
自分を見上げる彼に、自分は何をしてやれるのだろう。
自分を過信していたのかもしれない、自分で彼を繋ぎ止める事が出来ると。出来ないときは彼も死ぬのだろうか?友人を追い。自分を置いて。
口を開けばホーへの呪詛しか出ない気がして、
座り込む彼を抱きしめる事しか出来ずにいた。
ただ、それが許されるなら。]
(66) 2014/06/30(Mon) 02時半頃