[オールバックの頭に帽子を乗せ。
夏物のジャケットを羽織り店外に出たなら、鍵をかけたドアノブに「close」の札を出しておく。
シムシム、なんて唱えられても開かないのであしからず。
店先に出してある看板は、以前街角で拡げられていたキャンパスの絵を気に入り。その絵描きに頼んで描いてもらったもの。>>5
時計屋だとわかる看板を頼みたい、などとひどく漠然とした注文をしたものだ。
その看板のおかげもあって、店の入口がわかりやすくなったと概ね好評である。
何せ近所の住人でも、最初は時計屋がどこにあるか迷った人物がいるくらいだ。>>52]
あの車掌さんの時計も、定期点検の時期が近かったな。
[時折利用する路面電車で向けられる、爽やかな笑顔。
オリュース市電から、鉄道時計の認可店として贔屓してもらっているのもあるが。定期点検も欠かさず依頼してくれる、彼のように時計を大事にする人物はこちらも贔屓したくなるもので。
時間に余裕があるようなら、店内にある接客兼休憩用のソファで世間話がてらお茶を出した日もあっただろう。]
(66) 2019/07/26(Fri) 01時半頃