(……不穏の匂い、それも濃厚だ)
教会から滲み出る、濃い非日常的な空気を感じ取った。
例えば普段の散歩道である公園で、何かしらの事件が起こったとする。
その後暫くは公園を避けるかも分からないし、仮に通ったところで長閑な雰囲気など望めないだろう。
そんな感覚を、何倍にも濃縮した、火種の匂いだ。
派手な物音は聞こえない事から、既に事は済んでいるのだろうと考えた騎士は。
コンコン、と古びた木枠の扉を叩いた。
まるで、それば、ノックの様で、と言うか正真正銘のノックであり。
「誰か、居るのかな」
わざわざ声をかけたのは、必要以上に教会を壊し契約者とのパスが切れるのを防ぐ為、要は羽根が7枚揃えば良いのだ。
本当はこの辺り一帯に陣取り、外周部で迎撃に出る予定だったのだが既に何者かが居るというのなら話は変わってくる。
(65) 2014/07/01(Tue) 02時頃