あの人はそう、私たちとは全く違う性質を持っていました。
傲慢で偉そうで。そうそう「吾輩は天才だ」が口癖でしたっけ。
…可笑しいですよね、頭の良さは私たち全員が同じことは皆が知っている筈なのに。
おまけに、いくら言っても整理整頓が出来なくて私を困らせてばかりでした。
でも…何だか見捨てておけなかったんですよね。新しい事を発見した時は、本当に嬉しそうで子どもみたいなキラキラした瞳をしてましたから。
腹に据えかねて大喧嘩をした事もありましたけど、あの人の助手として過ごした事に後悔はありません。
一つ後悔があるとすれば、そうですね…
研究の過程で、宇宙クラゲに寄生されてしまった事。
自ら命を絶った事。
…くらいですね。遺体も溶けて消えた筈です。私が寄生されていた事はこの世の誰も知らない事。
…ふふ、驚きましたか? *
(64) 2020/08/28(Fri) 18時頃