─回想/5月1日 午後8時過ぎ 繁華街の寂れた酒場─
>>17>>18
…っは。冗談じゃねーが、…それで忘れられるってんなら構わねェぜ?
『お兄ちゃん』も、全部。
[ほんの僅か、鼻先で嘲笑う言葉は、瞳も外した──相手に向けたものではなかった事は伝わっただろうか。自身は、妙に苦く感じた無味の水で咥内を湿らせた]
──『化けモン』が、…アンタの親友だったら、どうする。
[僅かな沈黙。不意の言葉は、答えを期待した訳のものではなかったが。
撃ち抜かれただけで、死ぬ──人であるならば、…彼の言う変わらないもの、日常の中に潜んだソレを彼はどう思うのかと。残酷な問いは、この時彼だけが心中に抱えた重さを推し測ってのものではない、己にとってはただ、自身の息苦しさを吐き出しただけの表現]
…言うんじゃねーよ。……ナユタ。
[重い唇を舐め、囁きに似た声で己もまた彼を呼んだ。その瞬間のみはどこかうっそりと落ちた呼吸を、ゆっくり鼻先から吸い込み直して、散らし]
ンな事ァ…わかってる。だから嫌になるんじゃねーか。……会えねェさ。俺の死に目でもねーとな。
(64) 2013/07/24(Wed) 01時半頃