─ 電子記録 / 浮穴沫媛について ─
〔浮穴沫媛の一群体(※注)である彼女──浮穴沫媛は分裂で増える為、無性というべきかもしれないが、同種を増やせるということを雌と定義するならば便宜上妥当なのは女の性だろう──スプスプイが、移民船の『乗客』として認められたのは、まずはエスペラント船長の意向のおかげであったといえる。
彼女らを『人』として扱ってくれたことについて
船長には敬意と感謝を記したい。
なにしろ浮穴沫媛は、彼女らの故郷では、もっともポピュラーな洗剤、つまり知性のない物体として扱われていたからだ。〕
〔※注 浮穴沫媛を別れた群体と引き合わせると、いさかいも起こさずに完全に同化するために固有の群体としての区別があるのかが未だ不明であるが、便宜上こう呼称している。〕
(64) 2020/08/25(Tue) 23時半頃