【人】 安全保障局 アラン

― 共同墓地 ―

[列車の事故にあったなら、彼の使用人が墓の下に居ない可能性も十分にあった。
劫火に焼かれて、脂を燃やし、誰のものとも分からない骨も脆く崩れたのだろう。>>44

だが、己は神職者であった。
赤の神の力を失った今では、どんな些細な奇跡も使えないが、教えは胸に生きている。

例えば、死者の残滓がこの世に留まるのならば、生前親しんだ場所に。
或いは帰りたかった場所へと残る。
信憑性など特にない、唯の教えだ。

しかし、使用人はこの墓地に残っているのだろうと考えていた。

―――何せ傍には可愛いトレイル坊やの屋敷がある。
]

(63) momoten 2014/02/08(Sat) 21時頃