せんせい、あたし、……とっても嬉しいの。
せんせい、あたし、せんせいと一緒にいてもいいんだよね?
あたし、ずっとせんせいと一緒にいるよ。ずっとだよ。
ねえ、せんせい。
たくさん、お絵かきしようね。
[あたしはもう、怖くなかった。
その先、せんせいのことをひとりにしてしまうかもしれない。けれど、せんせいの一部になって、ひとつになって生きられるなら。
…灰となって落ちることを知るのは、もう少し先になるかもしれない。その代わり、繋げない手の代わりに、腕にすりと頬を寄せた。
少女の命が尽きるまでの時間。
せんせいが住んでいた街のことも、見てきた景色も、
これまでの少女と契ったことも、――蠍の火に灼かれる運命のことも。
ひとつずつ少女の中に飲み込んで、軈てその身の終えるまで。
脚の不自由なせんせいの速度に合わせて、少女はゆっくりと学んでいく。**]
(63) 2016/10/13(Thu) 12時半頃