>>45ミッシェル先輩の挨拶に小さな声で「おはようございます」と返した。ミッシェル先輩はこの寄宿舎のお姉さんのような人だ。相応の敬意を払ってしかるべきだと僕は思う。
紳士たる態度がとれていただろうか? 変ではなかっただろうか? 自問してみるが、この場合生憎採点者は僕ではないのだ。頭に血が登っている。ミッシェル先輩に声をかけられると、このような現象が起こることがある。この現象については、いずれ何らかの設問と解答が求められるのかもしれないが、今は目下の問題である朝食の件の方が重要だ。重要なのである。断じて解答拒否ではないことを主張しておきたい。脳内の僕諸君よ。
「あ、ムパムピスさんも、おはようございます」
その点、ムパムピスさんにはなんの設問の気配もしない。箸休めとして素晴らしい人物である。心なしか頭に上った血も降りてきた。ありがとう。ムパムピスさん。
挨拶もそこそこに僕はテーブルに座って用意されていたスープにとりかかった。
会話からの見事な流れで、労せずして朝食にたどり着いたわけだ。勿論、僕くらいの熟練者になると具とスープどちらから食べるべきか悩んだりしない。それは引っ掛け問題なのである。
(63) 2013/02/03(Sun) 01時半頃