[一歩一歩すすめば、広場の石畳はぺたぺたと音がする。街中に戻ってもなお、彼女は靴を手に提げたまま歩いていた。真っ白なシルクの手袋の防御感と裸足の無防備感の組み合わせは誰の目にも奇異であったろう。とはいえ、まわりからの好奇の目が今更気になるはずもなく。…図太さは彼女の長所でもあり短所でもある。] やぁやぁ。今日もよろしく。[教会の頂きに聳える十字架に片手をあげ、お愛想しておく。信仰心があるわけではないからこそできるのであろうカミサマへの軽い挨拶。これが窘められるようなことだとは露ほども考えていないのだろう。そういったことを彼女に教えてくれる相手はどこにもいないから。]
(63) 2015/04/06(Mon) 14時半頃