─廃病院─[赤い髪、ふと覗かせる表情も、仕草も、変わっていない所為で惑う。ケイイチ――の中に在る“ジン”に屈服するほどに犯されて、雌になったなんて、まだ知らない。笑顔も覚えがあるものゆえ、警戒は薄い。ただ、かわいい、などということがあったかという覚えがなく、大混乱だ。]……これでも、色々戦ってきたのに…[不服そうに、ぼやくように謂った。けれど最早それは過去のものか。消失した痛みを快楽で塗り替えられたこの体は、いったい何の役に立つというのかと過る。変化の途上か、あるいは多様性を保つためにこのまま羞恥を含めて縫い留められるか。]
(62) azuma 2018/03/06(Tue) 14時頃