―5月8日朝7時頃、チアキ自宅―
[目覚めは最悪だった。絶え間なく脈動する肩の傷とじっとりと汗ばんだ身体――寝返りを打つのさえ辛い程の怠さ。
どうやら熱が上がっているらしいと、眠りの淵に片足を置いたままの意識でも容易に理解できる程に全身が重い。
そういえばチアキはどこに行ったのだろうと、隙間の空いたベッドの上へと右手を伸ばした。
彼がそこを離れて随分と時間が経っている事を示すように、シーツはひんやりと掌に触れる。
段々と鮮明になる意識の何処かが警鐘を鳴らして、ナユタは気怠げに身を起こした]
………あの馬鹿…ッ!
ってクッソ……なんなんだ、よ…これ、
[相も変わらぬ下手クソなイラスト入りのメモをグシャグシャに握り潰す。
クシャミを信じていない訳ではない――けれど『感染者』を信じた訳でもない。
彼女の意志と理性と、衝動のどちらが勝つのか、それは彼女にすらわからない事だろう]
(62) 2013/08/03(Sat) 23時半頃