[>>59呪を一部破られて、さっと背筋が冷えた。
咎められるか、失望されるかと思っていたのは、キルロイも同様だった。
Jからヤナギに抱く信頼は、他の者より厚い様に見えた。息子として傍に居る分、無意識にそれを感じ取っていたのだろう。
その信頼している部下を、言いなりだとしても汚そうとしている自分は、なんて浅ましいのだろうと思いを昏くしていた筈なのに。
だが、降ってきた言葉は意外な提案で、思わず目を見開いた。
要するに三人で、することになるのだろうか。
それは自分がヤナギを犯したことになるのだろうかと判断に迷う。
直円の気に入らなければ、またやりなおしにもなりかねない。
ヤナギとともに座るような形から、きょとんとしたような顔を上げると、]
――J。うえ。
[今度は別の意味で、目が丸くなる。
天井にわだかまる赤黒い塊は、今にもJに迫りそうに見えた。
だが、なりたての淫魔は拘束を解くことも忘れて、その様に目を奪われてしまう。]
(62) 2016/06/17(Fri) 23時頃