―早朝・黍炉の部屋―
[結局一晩借りてしまったベッドからシーツやら枕カバーやら毛布を引きはがし、ドールに託す。]
整えておいて。
[もし、彼がまだ此処に還りたいと思うのなら、使えるように。
彼が果たしてそれを望んでいるかは知らないけれど。
話はそれだけだとドールを追いたてようとして]
……ああ、後、使うか分からないけれど、
僕たちのフロアに余っている部屋あるでしょ。
二部屋整えておいて。
行き場所があるのなら、無駄になるのかもしれないけれどね。
[引き止めてもう一つの用事を言いつける。ドールは忠実に命令を実行しただろう。歩き去るドールを見送って、部屋から出る。
久しぶりに深い睡眠が得られたようで、身体は軽い。
また、アムネシアのざわめきが頭を浸食しはじめているが、これはもう、いつか終わる日まで割り切るしかない。厨房に行こうとして、考え直し、自分の部屋へと足を向けた。]
(62) 2014/02/04(Tue) 22時頃