[青年は己のペースを守りつつ、周りに後れを取らぬように歩を進める。
新しく出来たらしき関係に気付けば、ゆるりと目を細め。自分も頑張らねば、と決意を新たにする。
―ふと、視線を感じて颯の方を見れば、彼はじっと青年の方を見ていた。
主人を心配しているのだろう式神の背中を撫でながら青年は彼のみに聞こえるように声を潜める。]
…大丈夫ですって。
もう一体式神を呼び出したら、大変だったでしょうけど。
[颯はその言葉に敏感に反応し、尻尾で主人の背中をぺしぺしと叩く。
地味にダメージの大きいそれには思わず悲鳴を上げ。
―そこからは声を調整するのは困難となった。]
わ、嘘です。嘘。
もう、何で仲良くしてくれないんですか…。
[降参です、と苦笑しながら言ってみせる青年に宿るのは己の式神に対する絶対の信頼。
それを察知して機嫌を直したらしい鼬姿の式神は、ふん、と鼻を鳴らして青年の肩の上に伏せる。**]
(62) 2013/08/24(Sat) 00時半頃