[流石に、状況を飲み込めずに凍り付く。
それが解けたのは、同じように階段を降りてきた古屋が、自分より少し手前でぐらりと傾いだせいだ。>>47]
……ッ、馬鹿!
[ば、と手が出て、けれど多分、それよりも先に。
男子のそれよりは小さい、華奢な体躯が、古屋の下に飛び込んできた。>>55
咄嗟に、片手で階段の手すりを掴む。
伸ばしたもう片手は、辛うじて、古屋の制服の襟元を掴んで。
片手に、力いっぱい重さが乗る。
踏ん張ろうとした拍子、ガン、と思いっきり壁に肘と肩を打ち付けた。
その痛みに顔を歪めて、それでもなんとかどちらの手も離さずに済んだので。
縺れ合うように、3人。
階段で崩れる事態にはなって、あちこちをしこたまぶつけたにしても。それから、古屋が多少──だいぶ、首の締まりそうな思いをしたにしても。
遠野雛子に、男子1人分の体重がそのままかかる事態にはならなかったんじゃないかと、思いたい**]
(62) 2015/11/03(Tue) 02時頃