[急く人々、あるいは世間話をしながらゆっくりと向かう人、目的地は一緒であれど、目的も人種も様々で、彼もその中に紛れていた。
なるべく他人の邪魔にはならないようひそやかにワゴンを引いて、街の中心へ向かう。
彼の目的といえば、野次馬に尽きた。
塔に異変が起きたのか、それも気になったが、本当にそれが知りたければ、彼をこの街に引き取った研究施設の学者先生のところへ行くのが彼が持つ手段の中では一番確実だった。
中心に近づくにつれ、人が多くなれば、ワゴンも引きづらく、長年の掃除夫経験で培った頭の中の地図を元に、少し遠回りになるが裏路地を歩く。
そんな途中、もしか、塔とは反対の方向へつながる道を行こうとするセシル>>30とであったかもしれない。
出会えば、塔を見上げて歩くセシルを見て、なんとなく事情を察し、言葉少なに挨拶してから声をかけただろう]
(62) 2011/09/22(Thu) 22時半頃