『美しいヤナギ。
君の身体がどれだけ淫らに作り変えられても、
君の高潔な心と理性は決して失われない。
君はいつまでも強くて、決して折れることを知らない
……気高い、対魔忍だ』
[注ぎ込む暗示は、一切の精神の堕落を許さないもの。
さながら、美しい蝶の羽を細い鋲で縫いとめるが如く。
どれだけ快楽に溺れようとも正気を失うことはなく、どれだけ絶望に打ちひしがれようともその心が折れることはないのだと擦り込む。
それは快楽に逃げることも、狂うことも許さず、ただひたすらに現実を見せつける為のもの。
皆が狂っていく中で、彼だけが正気であり続ける。
それが意味するのは、果てのない孤独と、終わることの無い地獄。]
…………可哀想な、ヤナギ。
僕の孤独も、苦しみも……全部、君にあげる。
[最早己にとってヤナギは羨望の対象ではない。
憐れで、可哀想で、故に愛でるに相応しい、もの。]
(61) 2016/06/15(Wed) 23時半頃