( ……コーン、)
[レンジの中でくるくると回る米を尻目に、貴方の手に持たれたコーン缶に目を伏せる。
この団体に所属して、貴方と話すようになって。
活動の帰りに簡単な食事を共にした事もあったが、その時に確か一度、スープならばコーンスープが好きだと世間話をした事も、あったと思うけれど。
その時の事を覚えてくれていたのか、それとも唯の偶然なのか。
それはわからないけれど、もしも前者ならば良いのに……烏滸がましくもそんな夢を見てしまう自分が、何とも滑稽で情けない。
レンジへと向き直り、溜息ひとつ。
丁度出来上がったインスタントの米を取り出し、新しい米を入れていればルーカスに対する侘びの言葉が聞こえてきた。
彼が幼少の頃から医者の世話になってきた事も知らなければ、あまり食が太くないのも初めて聞く事。
言われてみれば、あまり沢山食べている所を見た事は無かったかもしれない、と。
それならば、ここに共に来たのはまた気を使わせてしまったかもしれないという、申し訳なさが少しだけ頭を擡げる。]
(61) 2015/11/23(Mon) 15時半頃