── creaturae scutum.
[>>54カチリと鳴らされた音を合図に湧き出てきた幾つもの大きな火の玉に、既に嫌という程思い知っている絶望が更に色を深くする。
けれど私は逃げるではなく、力ある言葉を紡ぎ火の玉を防ぐ盾を創りあげ立ち向かうを選ぶ。
だってもう、一度逃げてしまった。
本当なら私が真っ先に立ち向かわなければいけなかったのに、そうしたらあの一瞬で散った命の何割かは守れたかもしれなかったのに]
……防げなかったら、私も皆と同じになるだけだ。
[目の前の光景に、自分が耐え切れるなど思うことすらできない。
いずれ力尽きると分かった上で、二度も逃げるより火に焼かれて先に逝った彼らを追いたい。
でも、その前にせめて、一矢報いることは不可能でも、せめて──と。
次から次へと襲い来る火の玉に盾を壊されてはまた造り上げてを繰り返し、ゆっくりと一歩づつ、火の玉を操る主へと近付いていった**]
(61) 2019/12/08(Sun) 19時頃