―春うららのある日―
ありゃまあ。仔猫生まれたにゃん?
[それは、戦国の魔王の花見が終わってからしばらくしての出来事である。沙魅助はその日の仕事の休憩中、屋敷の庭で憩いの時間を過ごしていた。しかし、何処からかみゃーみゃー鳴く声が聞こえてきたのである。
軒下をひょいと覗いてみれば、六匹の仔猫と母猫が一匹。
黒いの、白いの、三毛にぶちに茶トラ色々。]
ううん、可愛いにゃあ。
でも、ボクんちで飼うにはちょっぴり多いにゃんね。
皆にも飼ってもらってるし……
あっ、そうにゃ。友好の使者やってもらおうにゃ。
[みゃあみゃあ鳴く仔猫の里親候補に、頭を過ぎったのは熊、もとい森番瓦衛門。先日、猫の時計を気にしていたのを丁度良く思い出したのであった。>>54
ほとんど許可もなく送りつけた使者7匹。その後、熊襲で可愛がられていると噂に聞いて、沙魅助は安心したのであった。熊に食べられないか、万に一つの心配がなかったといえば嘘になるからである。*]
(60) 2015/05/21(Thu) 23時頃