[そうして、来た道を戻り。何しに出たんだと情けない気持ちになりつつも、扉を開けて坊主の背を押して教会の中に入れ。扉を閉めれば、先程のように鍵の音を小さく鳴らす。
"ふたりっきりになりたい"、と。その願いの為だと言い訳を並べて、扉に背を預け坊主の鎖を強く引けば、その身体はこの腕の中に入ってきてはくれたかね。]
――……ほら、どうするんだ。
[坊主の身体を抱き留めつつ、片手でまた顎を持ち上げて。暫く前に丁度この場所で問うたものと同じ問いを、今度はあの時とは逆の位置で問いかける。
あぁ、まったく。ここまで我儘を聞いてやるのは今日限りだ、と。いつに無く坊主に甘い自分に呆れの息を吐きつつも、散々泣かせた詫びも兼ねての事だから仕方がない、とそんな言い訳を浮かべながら。
今度も、坊主は"いい子"にしたろうか。もしもしなかったのなら、今度は瞼を塞いでやらずに、ちゃんと"いい子"に出来るまで待ってやろう。
――そして。]
(60) ねこんこん 2015/04/14(Tue) 05時頃