それにさ、ここで抱えてるものとやらを解決して、良かったねって、帰って。
どうせ、また同じことになるかも、って思わない?
[こんな、ひとひとりの世界に複数の人間を閉じ込めてしまうような何かを胸に抱いておいて、今ここで、あっさりと解決出来るほどのものだなんて、思ってないんじゃないの、って。
きちんといろんなことに考えを巡らせることの出来る那由多だ。分かるよね、って視線で訴える。
たぶん、歪んだ笑みを浮かべていたと思う。
そこまで言っても引かないっていうなら、もうひとつ、問おう。]
……ねえ、那由多はさ。
[息を吸う。思い出すのは、行ったり来たりの昼と夜だ。
一度は、やめなくちゃいけないって自分で気づくことが出来て、それでも、そうすることが、出来なかった。*]
……一度は手放そうって思ったけど、出来ないぐらい、執着してるものが、あって。
それを、完全に諦めきれる自信、ある?
(59) 2015/06/28(Sun) 23時頃