阿呆抜かせ、帰るんだろう。
……どこでそんな言葉を覚えてくるんだ、マセガキめ。そんな台詞は十年早ェよ。
[しかしそれにしても、その台詞は何だ。普段の言動とはずれたそれに、頭を抱えそうになりながら――まさかこの坊主、普段はわざと幼いふりをしているのだろうかと。そんな懸念すら、頭に浮かぶ。
腕を取り、元来た道を戻ろうとする坊主の頭をコツリと小突き。引く腕を逆に引き寄せて、向かおうとする足を無理矢理に止める。
――だが、しかし。
坊主のその言葉に、少しだけ……そう、ほんの少しだけ、心を揺るがされてしまったから。]
………、夜になる前に、帰れ。
じゃないとお化けに襲われるぞ。
[坊主の鎖を指で引き、結局は坊主の向かおうとした方へと進み出してしまうのだからどうしようもない。
続きをして、と。そう言われて戻るなんざ、まるで――自分もそれを、望んでいるみたいじゃあないか。]
(59) ねこんこん 2015/04/14(Tue) 05時頃