[ 異形の騎士が立ち上がる、その姿は正に異形、遠目から見ればそれは純白に塗られた手脚に映っただろう。
だが、その正体は万難を排する雪白の鎧、ともすれば恐ろしさすら感じさせるのっぺりとした白さが、騎士の手と脚を形作っているのだ。
爪は白、皮膚も白、筋肉も白、関節も白、当然骨も白、全てが白、白白白、ひたすらに白。
真っ白な金属で造った限りなく精巧な機械的義手義足、一言で言い表すとそうなるが、心臓すら機械と置き換えた今、騎士の有する力は以前の比ではない。
機械仕掛けの騎士《エクエス・エクス・マキナ》は、既にそこに立っているのだ。
チク タク チク タク チク タク チクタク チク タク チクタクチクタク チク タク チク タク チク タク チクタク
底なしに不気味な針の音を響かせて、時計の心臓は時を刻む。]
(59) 2014/06/13(Fri) 19時頃