―5月8日 早朝 町役場前広場―
>>57
[怖くない、と。……そして優しく掛けられた声に泣きそうになり。
でも泣かずに。
「共犯者」と言われたことに、あの家を二人で探した事を思い出し、それでも、泣かずに。
発された言葉は、意外なもので。
暫く、あっけにとられた表情に変わり。……数秒置いて、口を開く。]
………トレイル、だよ。
……パティが知られないままなら、あたしが殺されると思った。あたしが噛まれたって言っておけば、逆に殺せると思った。だから、ナユタさんには、パティに噛まれた、って。言った。
……ついでだよ。もう一つ言っちゃえば、さ。
オスカーが、感染者に襲われた、ってのはあたしの……でっちあげ。……[嘘を付くべきか、本心を言うべきか悩み……結局本心を語ることにし]……あの日チアキが死なないなら……それでいいと、思ったんだ。
[話しながら。その瞳は泣きそうな色へと変わるが、涙は一つも出ない。チアキを睨みつけつつ、乱暴な口調に変わり]
……幻滅したよな?……幻滅したって、言ってくれよ。……なあ……「ボランティアのお兄さん」よ……
(58) 2013/08/03(Sat) 23時半頃