["折角ですから"、そんな貴方の言葉>>436を聞きながら、摘まれた袖にはまたひとつとくりと心臓を跳ねさせる。
袖を引くその所作>>436に、傾げられたその首に。
頷きつつも、そわりと浮き立つ心はどうか貴方に伝わらないようにと祈りつつ。
声を潜めて吐露してみた小さな秘密は、こんな時にとともすれば引かれてしまわないかと懸念したけれど。
しかし貴方の緩む口元だとか、背を叩く手だとか>>437を見てみれば、どうやら杞憂に終わってくれたようで。
その事に安堵しながらも、同時に覚えるのはちょっとしたむず痒さ――こんな他愛もない、取るに足らないような内緒話でさえも、貴方とならばこうもうきうきとさせられるだなんて。
そうして背中に貴方の体温を残しつつ、米を探しに冷蔵庫へと向かったのなら。
視界の端に映るのは、コンロの元へと向かう貴方の姿で。
――まさか、まさか。
もしかしたら、貴方も何か作ってくれるつもりなんじゃあないか、なんて。
レンジへと米を突っ込みながら、湧き上がる期待に視線は自然と貴方の方へと。]
(58) 2015/11/23(Mon) 15時半頃