[―――倒れた呻くモノを踏んで、腰に付けたナイフを手に取る。苦しそうな声を上げるモノに対して腕を広げて押さえ、胸の上に刃を置いた。]ごめんね、じっくり愛してあげることは出来ないんだ。[そう言って胸から下腹部まで縦に直線の傷を浅く付ける。浅くであろうとも、じっくりと刃を体に走らされる痛みに、そのモノは声を抑えることは出来ない。そして、縦が終わったら次は横。右胸から左胸にかけて、再度刃が通る。紅い十字架が一つ完成し、震えるモノが一つ。その周りには動かぬモノがたくさん。彼女は傷口を抉るように指を走らせて血を救い上げ、マスクを少しずらすとその血を舐めとる。指を綺麗に舐め終わるとマスクを戻し、何事も無かったかのように歩き出した。]
(58) 2015/02/13(Fri) 21時半頃