あの、 さ……!
良かったら、また店に来てくれよ。
サービスするからよ。
[それでも意を決して、そう伝えはした。
それが功を奏したのか、あれからも度々顔を出してくれる。
あくまで店主として普通に接しつつ、何気なさを装ってちらちら様子を伺ううちに、一見豪快な見た目よりも案外静かな性格なのだなという印象を抱き、―――そう言う所もまた、好ましいなと思ったけれど。
ただ、どう接したものか、持て余しているのだった。
客商売だ、別に人と接するのは不慣れでも嫌いでもない。
けれど今までちゃんとした色恋には無縁で、ましてや同性で、そういった距離の詰め方なんか分からない。
こんな感情を向けられて、気持ち悪いに決まっている、と。
ちょっとしたサービスも、突っ込まれないのを良い事に続けているが、どう思われているのかは分からない。
まあ勝手な自己満足だ。*]
(56) 2015/11/10(Tue) 21時半頃