― 中央広場 ―
>>47
[真紅のドレスを纏う女は、右腕に包帯を巻いたまま、
同じく真紅の日傘を差して中央広場へ赴く。
そこの中央、噴水の横、わかりやすく項垂れている男がいる。ただ、あまりにも目立つ場所。だからこそ、そいつが超一流の詐欺師であるよりは、喧嘩で満身創痍の浮浪者の類にも見えたりした。
次は息の根をとめると決めた女も、さすがにそうの開けた場所では何もせず、その横、男を見下ろした。]
――……無様ね。
救ってくれる仲間はいなくて?
いい加減、ハイエナからは卒業なさいな。
ハイエナを殺すのに躊躇う人間なんて、きっといないわ。
[ふふり、唇を三日月にあげて。
セシルにそう見下すように告げると、またその場を去っていく。
そのままであれば、死ぬだけ。
それで死なないのであれば、彼の運は運命は、何をこれから彼にさせるのだろうと、そこだけはわくわくしながら。*]
(56) 2015/02/18(Wed) 22時頃