[扨、“先生”が居たのならば話を。
何方にせよ、帰らねばならないのだからと青年は木刀を備品入れとしている建物の裏手に持って行こうとしたところで。
入り口に人の陰のあるのに気が付いては、歩み寄って行く。]
…申し訳ありません、師範は既に帰っております。
私が紛らわしく大変面目無い次第なのですが、
………、 …いいえ、
[殆ど至近距離に来てから、青年は目を眇めると自然に目付きが険しくなった。
それは、睨め付けているにも近く映りそうな様子で。]
その目です、違うのでしょう。
貴方様は如何様でいらっしゃいますか。
[剣道とは、読み合いの技術でもあると謂われる。
所以はその礼が相手から視線を外さないように行う事が理由として上がるが。
今回ばかりは、それを口にするべきではなかったのだ。
気付くのが事後であるのは、仕方のない事でもあるのだが。]*
(56) 2017/06/09(Fri) 02時頃