162 冷たい校舎村3-1


【人】 友愛組合 チアキ

[フェンスにかけた手。
もうそこまできてしまえば、あとは、乗り越えて、飛び降りて、それだけだった。

──それなのに、どうしてだろうなぁ。

息が整わなくて、指先が小さく震えていて、足だって雲の上にでもいるように頼りなくて。
こんなんじゃ、フェンスを乗り越えることすらろくに出来やしない。
あと一歩。踏みとどまってしまったその僅かな間に、誰かが追いついてきてしまっただろうか。

泣き出してしまいそうで、唇を噛む。
秋野は、きっと、どうしようもなく弱い。*]

(55) 2015/06/28(Sun) 21時半頃

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