お褒めに預かり光栄です…ってな。
[何やら褒められているのが妙に気恥ずかしく、心臓の辺りがむずりと痒くなった。隣を歩く樹里の顔へ視線落とすと、こちらへ向いていた流し目が傍の屋台に移るのがちょうど見えて。店先に並ぶ色鮮やかな飴を纏った果実を眺める。]
病人じゃねぇ時でも菓子くらい買ってやるからよ、
もうちっと図々しくなっちまいな。
[どこか固く表情で飴を強請る樹里に笑って。動き回るのは体に良くないだろうが、一人待たせて買い物するのもそれはそれで心配で。考えた末に、手を引いてゆっくり屋台の傍へ行く事に。そして買ったばかりの飴は、樹里の手へと。
苺飴と葡萄飴、淡黄の着物によく似合うだろうとふと思い、真っ赤な姫林檎の飴も。
そんな道草を楽しんだ後。
再び歩き出し、緩慢な足取りでわかば荘へと。樹里が次に倒れかけたら有無を言わさず背負って歩くつもりで、彼女の様子に心を配りつつ。**]
(55) 2014/01/03(Fri) 11時頃