[通信はラルフと四井が恙なくこなしてくれている。
となれば、亀井の傷を診るのを優先しようと会議室に踏み入った。
通信には、通信機を介さず。場所や状況だけ声を上げた。四井の通信の後方から、微かな返事が聞こえただろう。
朧に傷を診せることをよしとしないラルフには疑問が浮かんだが、自分が対処すればいいだけだ。]
身体起こせるなら、腕高く上げて、痛むかもしれないですけど軽く振っててください。
心臓より下げないで。5分くらいしたら、傷洗いに――
[あ。と出かかった声はすんでで止めた。
傷を洗う、シャワー室、タオル。単語が連想ゲームになって頭に浮かんで、成すべきことを思い出す。
見張りを代わる、というラルフの話も最もなのだが、それよりも何か、拭うもの。
応急処置を終えたら亀井は医務室に向かうべきで、けれど医務室に今人を入れるのは。]
(55) 2016/06/11(Sat) 18時半頃