[すると何かがすっと近くを過ぎていったもので、思わず視線を其方にやれば、何時かの魔法使いの少女が兎を追いかけて走っていくのを見つけて。
嗚呼、お久しぶりですね、とかけた声も届かなかったようで。>>51
入っていった路地を見れば、何が原因なのか、瞬間反射的に表情が強張るのを感じた。
そう、薄々気が付いていたのだ。
彼は見てはいけないものを見てしまったのだと。
それが大凡あの“影”なのだと、何処かで気が付いていてそれで“助けなかった”。
驚く程しっかりと、あの場から聞こえてくる声はまるで責めるかの如くズクリと見えない傷を。]
モスキート、さん…。
……どうなさったんですかね…。
[素直ではない自身は本当の気持ちを堰き止めさせる。
最後に吐いた嘘は今迄より遥かに下手な嘘。]
(55) 2015/01/14(Wed) 19時半頃