[不思議そうな視線と共に、漸く唇同士が離れる>>53
酸欠を防ごうと温い空気が肺腑を満たすままに吸気を行い、
空中に架かる銀の橋は、2人の間を細く、繋ぐ
彼が水の能力を持っている事は知らない
ヤナギに精を洗い流してもらっているのを見た故に、彼が水の能力を持っている可能性を、最初から除外していた
故に――これは”彼以外の敵の攻撃”と判断したのだ
何も気づかぬ彼に、はくり、口を開いて]
はな、して。坂町
嫌だ。これ、あんたも、やだろ?
[ねぇ、と尋ねながら再度、小さく胸元を握った手で押す
抱き寄せる腕は細身ながら男の腕。触れる彼の肌は服越しでも熱く
己はこんなに人と密着した事などない。だから惑い、だからこそどう離す様に説得すればよいのか
考えつつも武力以外でその方法が思いつかない
一般人に攻撃してしまえば己は魔物と同じになってしまう
だからこそ雷は使えない
鍛えども小柄な体は、大人の前には無力に、近いか]
(55) 2016/06/09(Thu) 20時半頃