―5月2日午前、住宅街―
>>49
そりゃ…ね…
奉公先の家族の留守中に街がこんなことになりゃ、あたしは飢え死にするしかないさ…
[それまで強がっていたはずなのに、弱音ともとれる言葉を吐いたのはなぜだろう。ふと、2年前に彼に、「バカだ」と言われたことを思い出す。>>50彼が言葉を飾らないことを無意識に覚えていて、だからこそ心配しているような言葉をかけられたのが嬉しかったのかもしれない。
あのとき、自分はなんと答えただろう。「そんなことをしたら、家族が何をされるか…」確かそんなことを言った気がする。]
…はいはい…
他人の趣味にまで口は出さないよ…
[オスカーとのやり取りを呆れながら見る自分に、単なる挨拶だと反論する彼を適当にあしらい、]
ねえ、あんた…トレイル…さん?
食べるもん持ってるだろう?
ちょっとわけてくんないかい?
もちろん、タダでとは言わないからさ。
[さすがにいつまでも「あんた」では失礼だろう。ぎこちない「さん」付けで名前を呼び、断られるのを承知で食料を分けてもらうことを打診した。]
(55) 2013/07/24(Wed) 00時半頃