[男の先祖は代々ライマーとして生きるという家系である。
無論、男も例外では無く幼少の頃から修行に身を投じた。
血の定めなので、そこに選択権は用意されていない。
だが、チアキは違う。
平穏な暮らしを態々蹴り倒して、此処に居るのだ。
従兄弟には、まっとうな暮らしを送って欲しかったのは言うまでもない。
両親に猛反対を受け、説得に一年掛かったらしいが良く通ったなと思う。
しかし、こうなったからには仕方ない。
主観は殺し、ただの刃として主である彼に仕えるのみ。
……と思っているが、主と呼ぶ事を本人から禁止されている。
結局のところ、私情が抜け切れてないことは否めない。
その甘えは己がまだまだ修行が足りないせいだろうと、
飽くこと無く鍛錬に励むのが男の日常だった。
はっきり言えば実戦よりも、自らを鍛える時間の方が好きだ。]
(55) 2013/05/09(Thu) 16時頃