――屋敷・玄関ホール――(>>32>>34>>39)
[強行軍の疲労はまだ残っていて、私はぐたりと屋敷の壁に身を凭れさせた。雪山を歩いて出た汗が急速に冷えていく。寒さにぶるりと身体が震える。このままではひどい風邪をひいてしまいそうだった。
と――屋敷の扉が開き、メイドらしい娘が出てくるのが見えた]
すみません、この雪の中で迷ってしまって。
休ませて頂けるのなら、願ってもないことですわ。
ご主人には是非、後で直接お礼を――
[セレストと同様にコートを渡そうとして、私は何か既視感のようなものを感じた。いや、むしろ何か当然のことを見落としているような不安というか――]
――って、どこ見てるの、セレスト?
じっと見つめちゃって、いやらしい。
いくらメイドに対してとはいえ、失礼だわ。
[けれど。それを確かめるよりも先に。
セレストの視線が彼女の一点に釘付けになっていることの方が気に障ってしまった]
(55) 2012/12/01(Sat) 02時頃