─ 回想・対魔忍組織本部廊下>>46 ─
[料理人に異動して、数日が過ぎた。
まだ成果も残さないうちに部隊を抜けた四井に対して、司令部からは「部隊の風通しが良くなったよ」なんて皮肉を吐きつけられこそすれ、
おおらかな料理長と優しい厨房の面々、忙しく責任ある仕事に、四井はやりがいを感じ始めていた。
コックコート姿も少し、板に付いてきただろうか。
業務を終え、私服に着替えて廊下を歩いていると、向かいから亀吉がやって来た]
亀吉さん。
お疲れ様っす。
[亀吉には、対魔忍時代に世話になった。
美しく、冷たさすら感じる容姿に最初こそ近寄りがたかったが、接してみるととても親切な人だった。
部隊の異なる四井にも目をかけてくれ、時折誘われて飲みに行った。
『何か良いことでもありましたか?』と問われれば、「やっぱり分かるんだ」と、安堵にも似た微かな喜びを感じた]
(55) 2016/06/04(Sat) 15時半頃