……、…っ
[リップ音も何も無く、ただ触れただけ。
閉じていた目を開き、近付いた時と同じように静かに顔を離す。そうっと、しかし素早く離れ、正面を向き、両手で顔を覆った。
顔が熱い。激しい運動をした後のように、心臓が暴れている。バクバクとやたらうるさいこの音が、押川に聞こえていないといいが。
うおお、と蜂蜜色の部屋で悶えていれば、ピピピとまたアラームが鳴る。自分のはさっき止めたから、押川のものだろうか。
機械に先に起こされるのはなんだか悔しく思えて、彼の頭に手を延ばす。]
ゆーすけ起きろー!!
[ぐしゃぐしゃと頭を撫でる、というより髪をかき混ぜるようにしながら、先程よりも大きな声で呼び掛ける。
そして、彼が起きるのを確認する前に、未だ赤いままだろう顔を隠すようにベッドから立ち上がった。]
Salvē!! 悠介
顔洗ってくるから、ちゃんと起きろよ
[背を向けたまま手を振って、廊下に出る。
パタン、と戸を閉めた後、そのまましゃがみ込んでタオルに顔を埋めた。]
(55) アッサシーン 2014/04/23(Wed) 00時頃