─ 秋夜 と ─
[こちらの名乗りに若者は言葉通り機嫌良さげだ>>7。
礼にはいやと短く返しながら首を横にして、そうして簡単な話を静かに聞いていく>>8。
頷いて彼の言葉を脳に染み渡らせて、それからふむりと首を傾げてしまう。]
しっかり仕事を持っていて、こんな身なりをしていても、だ。
私が立派な人間だとは限らないだろう。
[事実、妻には逃げられている。そう口に出来ないのは、男としての見栄みたいなものだろう。]
人の役に立ちたいと思って生きているぶん、秋夜くんの方が私からしたら立派なんだけどな。
君が謝らないでほしいという理由は理解した。
が、失礼なことをしたと反省するおっさんの気持ちも、少しは理解してもらいたいな。
──いけないことかな?
[なんて。
秋夜の言葉尻を借りて、赤い目玉を輝かせる彼へと首を傾げてみせた。
頬杖をつくその顔を、じっと見つめ返しながら。]
(55) 2016/08/15(Mon) 21時頃