[Pavr=opetyから出発の後は、船は次元航法に向けて順調にエネルギーをためていた。
デブリの接触。十円傷。食事時にナユタは居なかった。
アラーム。のたうつ彗星。再度アラーム。次元航法装置の故障。ナユタの発見。]
――彗星。
[ながい尾をのたくらせて、もがき苦しむようにどこかへ流れ消えた、赤や紫の花火を纏ったあの彗星。
次に原因を次に疑うべきは船外だ。
彗星との接触は無かったが、果たしてそれによって何も無かったと言い切れるだろうか。
彗星との接触はなかったので、何もない。
本当か?
拍手をするように両手を打てば、ぽんと音がなる。
それでは片手の音とはいかなるものか。
エスペラントの車輪は、ころころと廊下を転がり、自室へ向かう。
船外作業に、この車輪の脚は向かない。脚部を車輪から多脚型に取り替えなければ。]
(54) 2016/05/19(Thu) 03時半頃