[ジリヤがこの力に気づいたのは、母が大立ち回りをした翌年だった。
父の元に運び込まれた悪魔憑きの絶叫が教会内に響き渡ったとき、目の前が極光に包まれて、憑いた悪魔の名を暴いたのだ。
それが遠縁のタケダに伝わった。
師匠が来たのが高校卒業が後一ヶ月くらいというころだ。
『教会』に所属し『協会』にも所属する変り種でありながら、決して表に出ない彼は、ジリヤと方法は違えど、同様の能力を持ちえていた。
その能力から、吸血鬼やグール、悪魔の名前を暴いては、裁ききれない分は両方へ情報提供していた。
もしかしたらこの場にいるハンターの誰かは、その情報を元に行動したかもしれないが、受取人には興味が無い。
そんな生活を彼此三年。
未だターゲット選別の制度が低いため、見習いから昇格できない彼女の元に、何故かわからないがノスフェラトゥから招待状が届いた。
『よーし。これでノスフェラトゥの正体暴いてきたら新人に昇格だ。ついでに倒せたら、半人前くらいにはしてやる』
不参加の決定は絶対に下されることはなく、泣き泣き館へとやってきた。
――これが、ジリヤが招待に応じた全てであり、オスカーにも話さなかった内情だった]
(54) 2014/11/07(Fri) 01時頃