―大衆食堂『森の真珠』/夕刻―
[ずぶ濡れの男に案内を頼む。
外は眼を開けていられないほどの酷い嵐。
それでも現場に辿りつく]
――…っ!
[男が言っていたように通りには無残な遺体が転がっていた。
目の前にしてもやっぱり信じられなくて――でもこれは現実だと、現実を見ろと頭が訴える。
…このまま風雨に晒していては、噛みちぎられた部位が飛んでいってしまうかもしれない。現場保存云々なんていってられるか。どうせこの雨で証拠なんて流れてしまっているだろうし、誰だかわからないけれど、ずっとこの雨の中に置いておくのも……可哀想だ]
(――こんなものを撮る日がくるなんてな)
[徐にカメラを向け、数十枚シャッターを切った。嵐が治まればそのうち警察がくるだろう。発見状況はこの写真を見せて説明すればいい。
風雨に晒されない場所に移動させようと案内を頼んだ男、他の誰かが駆けつけたなら、駆けつけた者たちにも提案する]
(54) 2017/08/13(Sun) 21時半頃