[花びらが散る表現はいくつもあって、僕は昨日もそのことばかり考えていた。
散っていく桜を見上げながら、ただ落ちるだけなら見上げるのも難しいから、きっと彼らは舞っているのだろう、とか。
両手で受け止めきれなかった吹雪が「零れて」いくのを見守ったりだとか。
だからパルックさんたちの話に気づくのには少し遅れた。
レンのウェディングソングに振り向いて、
幸せそうに笑う二人を見てから、ようやく耳に届いていた言葉の意味を理解した]
後で、聞いてみよう
[彼らには、この桜がどう見えているのか。
でも、なんて聞いたらいいだろう。
「この桜がどう見えますか」
「桜は、散っているのでしょうか、踊っているのでしょうか」
どれもおかしい。
首を捻っているうちに祝杯はどんどん重なり、
結局、聞こうとしたこと自体忘れてしまった]
(54) 2019/04/26(Fri) 00時頃