[ジリヤ――本名ジリャーラ・ソレイユ・ウエスギは、ハーフだ。
父親は代々悪霊祓いも行う表の神父。
そして母親は――死徒だ。
出会いは父が十字教の司祭の資格取得のため、ヨーロッパへ飛んだときだ。
母親は異端審問官だった。彼女は吸血鬼……しかも真祖ではなく死徒であるにも関わらず、いつ仲間から狩られるか? というスリルが堪らなくて彼此百年ほど任務についていたらしい。
とは、中学に上がるか上がらないかというくらいの時に、酔っ払って語ったのを覚えている。
自分のぶっとんでるという自覚はあったが、母にはかなわない。
それはさておき、二人は大聖堂で出会い、一目ぼれし、異端審問会の反対を、母が力ずくで黙らせ、その場で式を挙げて日本にやってきた。
死徒は元々死者だ。だからできないというジリヤが生まれたとき、教会は検体として異端審問官を送ってきたが、これまた母が撃退した。
大体、死徒のくせに太陽なんて気合でどうにかなる! と言い切って真昼間に一個小隊を撃破するんだから、文字通りの化け物だ。そんな母だから、あたしが生まれたのかもしれないなとはぼんやりと思う]
(53) 2014/11/07(Fri) 01時頃