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「このチャットアプリは僕が作ったものなんだ」
先輩は得意そうに言って見せる。
真琴は耳を疑った。このアプリが個人の作成したものなら何故ヴェルル女学院のメールに紐付けされて送られてくる? 当然、疑問が生じる。
「ふふ。納得いかないって顔をしているね?」
こくりと真琴は頷いた。
「簡単に言うとヴェルル女学院のサーバー経由で、新入生・在校生問わずメールを送り付ける事ができる。まぁ勘の良い人はWこれが正式なメールじゃないWって気づくかもしれないけど」
なるほど。こうやって個人情報をスッパ抜くわけだと妙に感心すると同時にこんな事をしていて問題にならないのかと不安にもなった。そんな真琴の様子を察してか。
「心配はないよ。どうやら黙認されてるみたいだしね」
先輩は誰とは言わなかったが、つまりそういうことなのだろう。
ヴェルル女学院の秘密を知った今では、特に驚きもしない。
「それより、真琴。服着ないのかい?」
どうせまた脱がされるのだから、今は着ないと耳打ちすると。
「ちがいないね」と先輩は屈託のない笑みを零した*]
(53) 2017/07/07(Fri) 12時半頃