【人】 本屋 ベネット

　―　数か月後：喫茶・はたたがみ　―

　……ああ。恐らく、家鳴《やなり》の仕業でしょうね。
　悪戯以外には害のない小鬼なので、日中少し揺れる程度ならあまり気にしない方が良いとは思いますが。

[入院中、パルックの娘と名乗る銀髪の少女の手によって受け継がれた和平交渉は、一応の形が整って。
帝都に溢れる怪異や妖絡みのトラブルも、随分と数を減らしていた。

完全に賞味期限が切れた在庫や清掃業者の手配に追われたのは、退院直後。
仕込む物は全て仕込み、合間に師匠の荷物も整理して。改めて、営業を再開した。

……ただ。
和平で人と妖の垣根が無くなるならば、と。“霹靂神”の業務も、ほんの少し表に出すようになったのだが。]

(52) yuo 2013/08/18(Sun) 21時半頃