─ 2階 ─
[カツカツと大股で規則的な足音と共に、見えない何かがハラリと落ちる。……見えない何かというより、見えなくしていた何か、と言う方が正しいか。
それは透明化の悪戯が解かれた瞬間。
傍から見ていた者にとっては、何もない所から突然レオが現れたように見えただろう]
[それとは気づかぬレオは、浮ついた足取りで歩いていた銀の娘が、こちらへ向けてどこか怯えを含んだ礼をするのを見て、はっとした]
其の方、我が見えるのか。
[言ってしまってから、これでは透明化の悪戯を受けていたことを白状したと同じではないか、とカッとする]
[もちろん、悪いのは口を滑らせたレオではなく、その原因を作った銀の娘である。人間だから使用人か贄に違いない、とレオは思った。
……それにしてはきちんとした身なりなのだが、今の血走ったレオの目には入らなかった]
なんだその顔は。
客人に対して何たる様だ。
(52) karyo 2013/03/29(Fri) 01時頃